

成長の鍵は「承認」と「やり切る文化」——自走するマネージャー陣が新たな可能性の扉を開く
株式会社弘
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管理職人材の育成が課題「『すごい会議』試してみたら?」
導入の経緯からお聞かせください。
西田:知人経営者との雑談中に当社の組織課題について話したところ、『すごい会議を試してみたら?』と、すすめられたんです。
主な課題は、エリアマネージャーや店長など管理職の役割が不明瞭なことと、彼らの育成教育が思うように進まないこと。組織に漂う閉塞感を打破するために、導入を決めました。
導入の決め手をお聞かせください。
西田:「すごい会議」は、漠然とした停滞感を整理し、言語化することで問題解決を進める手法だと理解しました。すぐに解決できなくても、モヤモヤの正体を可視化し、議論のテーブルに上げるだけで前進できる。まずは試してみよう—— そんな思いで始めました。
野崎:印象的だったのは、鈴木さんの自信に満ちた様子です。「これは面白そうだ」と、思いましたね。

「ものごとが確実に進む」から、人も組織も変わる
初日の会議にインパクトを感じていただいたそうですね。
西田:この一年を振り返っても、特に印象的な会議でした。課題と向き合い、「誰が」「何を」「いつまでに」やるかを整理する。困難があっても、やらざるを得ない状況になるから、ものごとが進む。「すごい会議」ならではの手応えを感じました。
そもそも、会社の目標をマネージャー陣とともに策定するのも、中長期の経営戦略をプロジェクトとして立てるのも、すべてが初めての経験。店舗の売上管理が中心だった経営会議や店長会議とは異なり、参加者の言動に変化を感じました。
野崎:僕は初回に限らず、毎回、新鮮な気持ちで楽しく参加しました。回を重ねるごとにマネージャー陣の責任感が増し、「言ったことはやらなければ」と、意識が強まっているのを感じます。
以前は、やると決めても途中で投げ出したり、うやむやにしたり。結論が曖昧なまま終わることが多かったのが、「すごい会議」では毎月進捗を管理し、「うまくいったのか、いかなかったのか」を明確にできる。前進する実感があります。
僕自身も、ほかのマネージャーと同じように担当領域のタスクを持っているので、やるべきことをやればコーチが褒めてくれる。「承認」されるとうれしくて、ついがんばってしまうんです(笑)。
「承認」の活用について、どのような発見がありましたか。
野崎:「承認」には、テクニックとして活用するものと、本心からの「いいね」があるように見ていて、どちらにしても、プロジェクトを前向きに進めるためのコーチングスキルだと理解しています。
鈴木さんの場づくりのうまさは、その「承認」力の高さにある。持ち前の明るさやポジティブさと相まって、僕たちをその気にさせてくれるんです。

最大の導入成果は、マネージャー陣の「やり切る」行動
この1年間で手に入れた成果・変化についてお聞かせください。
西田:マネージャー陣が「決めたことをやり切る方法」を学び、実行できるようになったことが最大の成果です。
問題は何か、ゴールはどこか。誰が何を、いつまでに実行するのか。すべてを明確にし、進捗を厳しくチェックすることで前に進めるようになった。
行動を決めても経験や準備が足りずに失敗することもありますが、右往左往しながらも動き続けることで、「どうやって進めればいいか」を学べました。
野崎:「自分たちでやる」—— そんな意識が根づき、自走し始めました。社長の指示で動くのではなく、担当者が自ら場をセッティングし、仲間の意見を引き出してアウトプットする。その一連の流れの精度が徐々に上がり、「うまくいかなくても前向きにやり切ろう」と、力が入った。
原動力になっているのは、今のところ、やはり「褒められたい」という欲求かもしれません。「承認」をうまく活用しながら、成長を後押ししていきます。
マネージャーの方々の「挑戦」について、どのような変化が生まれていますか。
西田:会議を始めた頃の彼らは、失敗したくないがために“できそうなこと”ばかり取り組んでいましたが、この会議で試行錯誤するうちに、「あれもやりたい」「これもやりたい」と、思いが広がり始めた。
一段上の課題に挑戦せざるを得ない状態に追い込んでくれる、コーチの誘導があってこその変容です。
野崎:以前は、「間違ったことを言ってはいけない」という意識や、「言ってしまうとやらなければならないから黙っておこう」という保守的な考えが蔓延していました。「すごい会議」を通じて「失敗も含めて挑戦すれば良い」と、彼らの意識が変わったように見えます。
「本音を言っていい」と、思えるようになったことは、いい変化ですね。

「できない」ことから逃げない、逃さない
他の経営会議や店長会議と「すごい会議」の最大の違いを教えてください。
野崎:僕が思うに、最大の違いは「やり切る」こと。これまでの会議では、「やろう」と決めても、結局、具体的なアウトプットがないまま曖昧になり、毎年同じような議題が繰り返されていました。理由をつけては、「できない」ことから逃げていたんです。
それに対し、「すごい会議」では、たとえうまくいかなくても最後までやり切る仕組みがある。正面から課題に向き合えます。
西田:同じく、「できていないことを明確にする」ことが、大きな違いです。本能的に、人は自分の未達成や不足に直面するのを避けがちですが、当社のメンバーはその傾向が特に強かった。それでも、行動を起こして現実の課題と向き合えるようになったことが進化の証。
逃げようとしても逃さないコーチがいてくれるおかげです(笑)。
コーチから見て印象的な変化や成長についてお聞かせください。
鈴木(コーチ):この1年を通じて、みなさんの責任感と主体性が大きく向上しました。特に、「僕がやります」と、手を挙げる方が増えたことが、うれしい変化。自分の役割への自負とやり遂げる意識が強まり、リーダーシップを発揮しながら問題解決に取り組んでくれています。
また、西田さんの社長としての思いや方針が皆さんにしっかりと届き、経営層と現場の距離が縮まったように見えます。対話を重ねることで共通認識が深まり、チームに一体感が生まれましたね。
「いいお店をつくる」「いきいきと働く」といったキーワードが、確実に根付きつつあります。
西田:確かに、彼らとこれほどの長時間を共にしたことはなく、店長会議や経営会議では、むしろ、彼らの発言を促すために自分が話しすぎないよう気をつけていたんです。しかし実際は、彼らの発言も少なく、会話が深まらない状況が続いていました。
私から発信してこそ意見交換が活発になるというのは、大きな発見。彼らが私の思いを理解しようと耳を傾けてくれる姿がうれしいですね。

“精霊”の力で真実と向き合い、進む
「すごい会議」のコンテンツで、「これは効果的だ」と、思ったものをお聞かせください。
西田:「精霊が言うには(自分ではなく)」という枕詞をつけて発言することで、普段は口にしにくい本心や触れにくい問題=“ひどい真実”を、テーブルにあげやすくなることです。
「本音を言っていい」という安心感が生まれ、その真実を「どうすれば解決できるか」と、前向きな視点に転換できる。心理的安全性のつくり方に感心しました。
その問題を根本的に解決することが難しくとも、単なる不満で終わらず、前向きに捉えて共有できる点がいいですね。
導入時の「マネージャー人材の成長」について、期待はどの程度手に入りましたか。
西田:マネージャーとして必要な心構えや行動についての理解は、確実に深まりました。とはいえ、アウトプットのクオリティにはまだ鍛錬が必要。今後も試行錯誤を繰り返し、個々人のスキルアップを通じて、問題解決や売上利益の向上といった成果につなげていきます。
今後は、会議に参加していないメンバーにも、その思考や行動を習得してもらうことが期待です。自主的に問題を見つけ、提案して解決に動く、「自走する組織」を加速させます。

成長を楽しむマネージャー陣が“可能性”を拓く
改めて、西田さんが「すごい会議」を導入して一番うれしかったことを教えてください。
西田:エリアマネージャーや店長の仕事が非常に忙しいなかでも、彼らが前向きに「すごい会議」を楽しんでいるように見えたことかな。会議のハードさに悲鳴を上げながらも、メンバーに選ばれた誇らしさを感じ、自らの意見を形にできる面白みを味わっているように見える。「やればできる」と、自信が増しているはずです。
お二人が感じた、組織や人の「新たな可能性」について教えてください。
西田:人は誰でも自分の考えを持っており、自分が発した言葉ほど行動につながりやすいとわかったことが可能性です。
しかも、その「考え」をいかに引き出すかは、こちらの質問力や場のつくり方次第。前向きに話しやすい環境を作れば、いいコミュニケーションやコミットメントが引き出せる。社員の力を生かす方法が見つかりました。
野崎:以前の彼らは、西田の発言に盲目的に従うだけでしたが、自分で考えて行動する文化が生まれた。彼らの意見は、想像以上にアイデアを発展させてくれます。その広がりが可能性そのものです。
鈴木コーチの貢献について、今一度お聞かせください。
西田:場づくりが抜群にうまく、深刻な話題のときこそ発言しやすい雰囲気をつくり、安心感を与えてくれる。「正しい会議」を教えてくれる人です。
野崎:個人的には、毎月、会うのが楽しみな人ですね。非常に熱く場を盛り上げながらも、一人ひとりを細かく観察し、それぞれに合った質問で社員の力を引き出してくれる。明るいムードの中にもピリッとスパイスを効かせて場をコントロールする手腕に、ワクワクさせられます。

社長と社員の「本気」がビジョンへの道をつくる
お二人から見た「すごい会議」とは、なんでしたか。
西田:脳みそが疲れる時間でした(笑)。「社長が本気にならなければ意味がない」と、鈴木さんに教えられた通り、私自身が「すごい会議」を最大限学ぶべく真剣に向き合いました。
この会議ほど、一つの事象に対してあらゆる角度から突き詰めて思考することはない。考え尽くし、議論し尽くす。エネルギーを注ぎました。
野崎:すべての可能性に対して仮説を立て、実証し、振り返る。まるで実験をしているかのような感覚です。以前は、仮説を立てても「できない理由」を探すばかりで、結果的にトップダウンで実行するしか方法がなかったのが、今は、彼ら自身で実験できるようになった。
うまくいかないことも結果の一つであり、それもまた成果と捉えています。
「すごい会議」の活用方法が他にもあるとすると、どんなシーンが浮かびますか。
西田:店長会議やアルバイトリーダー会議など、階層別に「すごい会議」を実施して個人の考えを引き出していくことで、人材成長が進みそうです。アルバイトリーダーを対象にした研修も実施しているので、「すごい会議」を掛け合わせることで相乗効果を生みだせるはず。
今後の貴社のビジョンについてお聞かせください。
西田:目指すのは、スタッフがいきいきとやりがいを持って働ける組織。売上や店舗数などの目標はあくまで手段であり、本当に大切にしたいのは、働く社員の成長と充実感です。
この1年間を通じて、スタッフ自身が意見を発信し、主体的に行動することが組織の活力につながると実感しました。そのあり方を会社のスタンダードにするために、自走できる環境づくりを進めます。
人が成長するからこそ、会社も成長する。そのプロセスの中で、社員が幸せを感じられる瞬間を、より多く生み出していきます。
ありがとうございました。
Day 2025年3月26日