

「経営幹部が変わらなければ、会社は変わらない」高い目標への挑戦で芽吹いた、“共創”へのマインドセット
東邦レマック株式会社
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「どうなれば“最高の未来”か」経営幹部の意識改革がカギ
2025年3月14日の代表取締役就任を目前に控え、お話を伺います。「すごい会議」の導入は約8カ月前。どのような課題感から導入を意思決定されましたか。
笠井:よりよい会社にするために、私自身を含めた経営幹部の意識改革が必要だと考えました。幹部が変わらなければ、会社は変わらない――それが私の実感です。
「すごい会議」の導入以前から、社内では“リバイバルプラン”を策定し、管理職の意識改革を最重要テーマに掲げてきました。フィロソフィーの策定とその浸透、定期的な勉強会の開催など、さまざまな取り組みを進めるなかで、改めて感じたのが「外部の力を借りる」必要性です。
第三者の視点を取り入れれば、社内の変化をもっと加速させられる。そんなタイミングで「すごい会議」をご紹介いただき、導入を決めました。
「すごい会議」で立てた目標は、貴社にとってどのような「挑戦」を意味しましたか。
笠井:これまでの当社の目標設定は、前年の売り上げを少し上回る程度の「実現可能な」数字でした。例えば、“前年比で1%、2%伸びれば十分”といったように。
ところが、鈴木コーチから投げかけられたのは、「どうなれば“最高の未来”と言えますか?」という質問。自然と視座が引き上げられ、「3年後に現在の倍の売り上げを目指す」と、意思決定しました。
そのゴールから逆算したのが今期の目標。私が入社して以来、こんなにも挑戦的な数字を掲げたのは初めてです。過去の延長線ではなく、「理想の未来」に向けて挑戦のギアを一段上げた瞬間でした。

幹部の意識が変わった「一番の喜び」
導入時の課題である「幹部メンバーの意識」について、8カ月間の変化をお聞かせください。
笠井:目標を掲げた当初、幹部メンバーは「経営の当事者」という意識が薄く、一般社員と肩を並べて会社への不満を口にしているような印象でした。まるで、私とは反対岸にいるような感覚ですね。
しかし、会議を重ねるなかで少しずつ様子が変わり、「これは自分たちの目標であり、問題である」と、自分ごと化してくれた。発言にも経営幹部としての視点が宿り、ともに経営サイドの仲間として走れる状態へと変化しつつあります。
鈴木(コーチ):私から見ても、導入当初のみなさんとはまるで別人です。おそらく過去の経営体制では、幹部の方々が意見を求められる機会が少なく、絶対的なトップに従うことが当たり前の風土になっていたのかもしれません。
しかし、「すごい会議」をきっかけに経営の視点で意見を求められ、「自分たちも声を上げていい」「組織を変えていける」と実感できた。組織の風土そのものが変化したことが、今回の最大の改革のように感じます。
導入後に、最も「喜び」を感じた瞬間についてお聞かせください。
笠井:経営メンバーが、目標を本気で受け入れてくれたと実感したときですね。「このままでは達成できない(だから、変えるしかない)」という言葉が出てきた瞬間、明らかな意識の変化を感じました。
経営幹部や現場のメンバーをどう巻き込んでいくかに課題を感じていたからこそ、彼ら自身が変革の必要性を感じたことが何ごとにも代えがたい大きな成果です。やっとスタートラインに立てたと実感した瞬間でした。
今後は、その基盤の上に確かな成果=実績を積み重ねていきます。

「すごい会議」だから取り組めた、という印象的な問題解決があればお聞かせください。
笠井:会社として最も重要な問題――「売れる商品をつくる」という本質的なテーマに、ようやく正面から向き合えました。
導入当初は、現場の不満ばかりに目が行き、本質にたどり着くまでに時間がかかりましたが、鈴木さんが「それは目標達成に関係がありますか?」「この問題を解決すると、達成に近づきますか?」と、粘り強く問い続けてくれたおかげで、徐々に焦点が定まりました。
「どうすれば“日本一”、“世界一”を目指せる自社商品を生み出せるか」という問いと向き合い、具体的な製品化へと動きだしています。
目標を「自分ごと」にする。社員を巻き込む変化と効果
開始当初、「すごい会議」で立てた挑戦的な目標に対する社員の方々の反応はいかがでしたか。
笠井:私には見えないところで、「そんなの無理だ」「できるわけがない」という意見が相次いだようです。未達時の評価を懸念する声もあり、その責任は問わないことをあらかじめ合意しました。
とはいえ、“目標は高いほどいい”というのが当社のフィロソフィー。たとえ達成できなくても、高みを目指す過程でいい成果が出るならば、その目標には十分な価値がある。
成長の確率が少しでも高まる選択をすべきだと、経営幹部、マネージャー、現場社員まで対話を重ねました。
高い目標へのハレーションを乗り越え、社員の方の巻き込みに成功した秘策をお聞かせください。
笠井:まずは、私自身の言葉で経営方針の一環として全社員に伝えましたが、「営業部門だけの話では?」と誤解されるなど、期待したようには伝わらなかったんです。
そこで広報担当者の助言を受け、幹部一人ひとりが「自分は何にコミットするのか」「この目標とどう向き合うのか」を語る動画を制作し、全社員に配信。言葉以上に温度感が伝わり、目標への理解が深まりました。
発信する立場になったことで、幹部自身の覚悟も明確になり、会議での姿勢や発言に変化が現れたのは、思わぬ副次効果でしたね。あわせて、私も全社員と個別に面談を行い、目標設定の背景や意図を伝えながら彼らの疑問に答えることで相互理解が深まり、組織に一体感が生まれました。

「すごい会議」の仕組みとコーチの力
社内のほかの会議でも「すごい会議」の進め方を取り入れているそうですね。
笠井:一般社員にもこの会議を広めようと、「すごい会議」の主要メンバーが中心となって、自主的に展開しています。すべてを再現するのは難しいものの、「誰が・何を・いつまでにやるか」を明らかにするなど、実践できる部分を積極的に取り入れています。
経営メンバーとしての意識が希薄だった頃の彼らと比べると、主体的に成長を生みだそうとする姿勢が根付き、その変化を顕著に実感します。
「すごい会議」とその他の会議の違いについて、教えてください。
笠井:私が思う「すごい会議」の特徴は、その明確なルールと、参加者自身が“自分の言葉で決める”仕組みです。会議の主催者や組織のトップが答えを与えるのでなく、各自が「自分はこれをやる」と宣言するから、当事者意識と責任が生まれる。
また、「提案」や「質問」といった前向きな発言に限定するルールによって、否定や言い訳に時間を取られることなく、ポジティブなムードで議論が進むのも大きな特長です。
会議を誘導してくれるコーチの存在も大きく、単なる「会議」の枠を超え、人と組織が変わる仕組みとして機能しています。

鈴木コーチの価値を、どのように実感していますか。
笠井:コーチの最大の価値は「問いの力」です。発言しやすい空気をつくりつつ、本質を突くタイミングで問いかけてくれることで、会議の質が一段上がります。コーチのひとことで思考の枠が広がり、場の空気が変わるんです。
社内でも真似しようとしましたが、進行の型やツールがあるだけでは成立せず、参加者を本気にさせる“問いと場づくり”こそが、コーチならではの専門性だと実感しました。
突破口は“人”にあり。「日本一」そして「世界」へ
「『すごい会議』とは何か?」という問いに、どのように回答いただきますか。
笠井:ありきたりに聞こえるかもしれませんが、「人が成長できる会議」です。導入の満足度は100%と言いたいところですが、まだ数字に現れていないので90%。今、取り組んでいる施策が数字に現れるまで半年から1年はかかるので、今後が楽しみですね。
成果を上げるのは私たちの仕事、ここから励みます。
「すごい会議」は、どのような組織におすすめでしょうか。
笠井:会社をよくしたい、成長させたい、そう願いながらも思うように進まず、悩んでいる経営者は少なくありません。よく耳にする「社員がダメなんだ」という言葉も、実は経営者自身の姿勢や仕組みに原因があることが多いはず。
組織に課題があるのは当然のこと。大切なのは、それをどう解決し続けるか。
「すごい会議」は、行動を促すルールと、それを支えるコーチの存在がセットなので、自力で組織を変えることの難しさを感じている経営者や、“一人経営”の限界に直面している方にとって、強力なサポートになるはずです。
いよいよ、代表取締役就任です。貴社の今後のビジョンをお聞かせください。
笠井:日本市場は、人口減少により確実に縮小していくことが予想されます。特にシューズ業界では海外ブランドが主流となり、日本の店頭に並ぶ製品の多くが海外製というのが現実です。だからこそ、今後は日本ブランドも世界を見据えるべき時代。
まずは、いずれかのカテゴリーで「日本一」を実現し、その実績を武器にアジアをはじめとする海外市場へ挑戦したい。今掲げている3年後の目標も、あくまで通過点に過ぎません。その先の未来を見据え、世界と戦えるブランド、そしてチームを築いていきます。
ありがとうございました。

Day 2025年5月9日