売上利益の継続的UP&計画達成に向けて
「数字への意識が変わった」

株式会社菓匠三全


売上利益の継続的UP&計画達成に向けて 「数字への意識が変わった」





「すごい会議」の導入から丸3年が経ち、これまでにどのような成果が生まれましたか。





田中:3年を通して売上利益は前年実績を上回り、かつ計画目標も達成する見込みです。この成果は間違いなく「すごい会議」の影響で、目標に向けて数字を細かく管理する癖がついたことが最大の要因です。





これまでは商品開発に力を入れてラインナップを拡大してきましたが、利益率の視点から原価や購入者数、販売個数や店舗数を見直した結果、商品数を絞り込む必要があるとわかりました。





お客様に求められる商品はどれなのか、最適な価格設定や製造法とは何なのか。「すごい会議」で問題解決を続けたことで、数字への意識の高まりとともに実績も積み上がりました。





2020年に現代表が社長に就任され、その翌年に導入いただきました。変化の中で、「すごい会議」はどのような文化をもたらしましたか。





田中:最大の変化は、やはり数字や期日への意識の高まりです。最初はなかなか浸透しませんでしたが、経営層向けに始めた「すごい会議」を、部課長クラスや管理職クラスへと拡大し、店長クラスにも対象を広げた今、「数字をしっかり追う」という、大きな方向性が各自の意識に浸透しつつあります。









この3年間で実施したプロジェクトの数は、20近くにも及ぶと伺いました。





田中:目指す場所へ向かおうとすると、自然と課題が浮き彫りになります。課題を解決しようと前進した結果、20ものプロジェクトを組んで問題と向き合う必要があった、ということですね。





経営チームで方針を決定し、部門別プロジェクトで具体的に問題を解決する。製造部門や営業部門、マネージャー育成に社内コーチ育成、店長会議など。どのプロジェクトにおいても数字や期日、人材効率や生産性といったわれわれの意識の変革が求められました。





「人財」が組織をつくる。マネージャーを育て、店長を育てる





社内の人財がコーチの役割を担う、“社内コーチ”の活躍をお聞かせください。





田中:まず、営業部の役職者数名を社内コーチとして育成していただきました。彼らはもともと管理職の「すごい会議」メンバーで、現在は、総勢60名の店長会議をコーチとしてけん引してくれています。





彼らが会議をファシリテートすることで、鈴木コーチのおられない会議も「すごい会議」形式に統一できる。結論から言う発言のフォーマットや数字などの事実を起点にした会話など、生産性が高まりました。





今後は、コーチングやマネジメントスキルを生かして部下を育成し、今以上にリーダーシップを発揮していってほしいですね。





60名の店長を集めた「すごい会議」式店長会議。実施の目的をお聞かせください。





田中:以前の店長会議では、役員が考える方針や解決策を指示する形で進めてきました。しかし、組織の力を高めるには店長の成長が不可欠。店長たちが主体的に考える場へと転換しました。





同時に、役員主導で問題解決を進めるほど現場に負荷がかかることは事実なので、現場のリアルな声を聞き、状態を把握することも目的の一つでした。





「すごい会議」に初参加のメンバーが多く、意見が出るか心配でしたが、驚くほどたくさんの意見が挙がり、『本当は言いたかったんだ』と、気づくと同時に、場を設ける必要性を実感しました。これを機に店長のモチベーションが一層上がることを期待しています。





鈴木(コーチ):以前の店長会議は、役員が会社の文化について講話する場という意味合いが強く、それによって組織理解が進んだことも確かです。次の段階として、お客様と接する店長自身が店舗や自社ブランドのことを積極的に考え、行動できるよう育成する。現場サイドからの組織強化を意図しました。









創業77年の歴史。守るべきもの、変えるべきもの





コーチはこの会社の成長をどう見ていますか。





鈴木(コーチ):非常に素直な方が多く、決めたことをやり切る能力が高い組織です。一方で、今年で創業77年という長い歴史があるがゆえに、本来であれば変えた方がいいことを過去の延長で続けているような面もありました。





そこを、「よりよい状態にアップデートしていこう」と、前提を書き換えたことで、みなさんの意識が「最も効果的な方法を探す」と、変化したように感じます。





田中:昔からの習慣というか、効率化すべきだとわかっていながらも変えずにいたことが数多くあり、それらが「ひどい真実」として現場から挙げられたことも変化のきっかけになりました。





例えば、店舗のシフト作成。人時生産性をきちんと考えてなかったり、店舗ごとにシフトづくりの基準が違ったり。30年前から同じやり方を続ける店舗もあれば、開店したばかりで効率のいいシフトを組む店舗もある。





現場の事実を可視化できたことを機に、全店で人材効率を高めるシフト作成法に統一しようという動きが生まれ、いつかは手をつける必要があったことに切り込むことができました。





経営チームの会議メンバーかつプロジェクトの意思決定者という経験は、田中常務ご自身の意識に、どのような変化を生みだしましたか。





田中:繰り返しになりますが、全体を取りまとめる立場であることを含め、「数字を達成する」という、思いが強くなりました。





コロナ禍で人と経済が停滞し、それ以前とは営業活動の状況が劇的に変わってしまったなかで、崩れた積み木は自分たちで積み直すしかない。そんなときに、目標を置いてマイルストーンを組み、課題や解決策を考えて進む「すごい会議」の効果は絶大でした。





また、シンプルに、本質的にものごとを考えられるようになったと思います。課題を「どうすれば解決できるか」と疑問文に書き換えると、多くの答えは自分のなかにあると気づく。役職としての役割も含め、「あとはどう実行するかだけ」だとわかったことは、大きな発見でした。





セッションメンバーの9割以上が女性だそうですね。





田中:当社では女性の採用を積極的に行っています。営業に限らず、製造や管理部門の全従業員の大半が女性の職場であり、これは当社の文化に根差したものです。結婚や出産後も育児と仕事を両立しながら管理職として活躍し、高いパフォーマンスで社内の重要な役割を果たしています。





率直な意見を出せる「すごい会議」の場があることで、今まで以上に社員が能力を発揮する場が増えました。









商品が届かない!?海外イベントのトラブルを“問題解決”





台湾のイベントでトラブルが起き、「すごい会議」の問題解決手法をフル稼働した、と伺いました。





田中:毎年、東日本大震災の復興支援への感謝と東北の魅力を伝えるイベントが台湾で開催されていて、当社もブースを出店しています。イベントは土日の2日間。ところが、金曜日の夜になって商品が届かないと連絡が来たんです。





詳しく話を聞くと、日本から商品を運ぶ際に本来載せるべき飛行機の貨物が満杯だったため、他の飛行機に載せて運んだと。結果、台湾の空港には着いているものの、税関の申請書類と一致しないので商品を運び出せない。しかも、土日は税関の処理ができないので配達は月曜日になる、とのことでした。





大規模なイベントなので、事前の集客にも力を入れています。予期せぬ事態に混乱し、困惑しました。





しかし、現地の運送会社や税関などに連絡を取るも、どこも「できることはない」の一点張り。困り果てていると、商品を空輸した航空会社が同じイベントに出店していることがわかり、貨物の担当に掛け合ってくれることになりました。しかし、その時点で夜の23時すぎ。「土曜日の夕方までに対応できるよう翌朝かけあう」という話で、その日は終了しました。









(台北市のイベントに出店)





まさに予期せぬトラブルの発生。イベント当日の様子もお聞かせください。





田中:商品はいつ届くのか、夕方届くとしてそれまでのお客様にはどう対応するのか、不確かな状況のまま朝を迎えました。





台湾の方々にも楽しみにしていただき、朝から行列ができるイベントです。当社のWEB動画に出演していただいている、人気アイドルグループのメンバーとコラボした台湾限定パッケージの「萩の月」を目当てに、多くのファンの方々が来場してくださいます。





まず、朝の段階でPOPをつくり、商品の到着が15時頃になることを伝えました。ありがたいことに遠方から来てくださった方も嫌な顔をせず、その情報をSNSで広めてくださる方もいらっしゃいました。





しかし、結局、15時になっても商品は届かなかったんです。期待して来場された方々が15時に殺到し、会場は混乱が起きそうな興奮した雰囲気に。





もちろん、商品が届かない場合に備えて対応策は用意しています。なんとしてでもお客様に商品をお届けするために、「どのようにすればお客様にご満足いただけるか」と、考えた末の解決策として、お客様にはQRコードを使って会場で購入を済ませていただき、商品は後日、日本から発送する方法を取りました。





台湾のイベントスタッフや現地アルバイトの方々のご協力を仰ぎ、QRコードの作成から購入までの運営体制を整えた結果、無事、商品をご購入いただくことができ、販売数は予想をはるかに超えました。その状況を受け入れてくださった台湾の方々の温かさに救われた一日でした。









イベント初日は商品が届かずに終了。その後、どうなりましたか。





田中:商品を乗せた航空会社の役員が貨物側に掛け合ってくださったことで、土曜の夜に「今日の夜に着く」と、連絡が来ました。





「今度こそ届くのか」と、ひやひやしながらも、ついに商品が到着。税関の倉庫から会場への移送に備えていたトラックのドライバーや会場のイベントスタッフとともに搬入を完了し、喜び合い、SNSで商品の到着をお伝えしてようやく問題はひと段落しました。





「自分たちができることは何か」 パニックを最小限に切り替える





想定外のトラブルに、「すごい会議」の問題解決思考がどのように役立った実感がありますか。





田中:「すごい会議」の経験がなくても、何らかのアクションを取って解決に動いたとは思いますが、怒りや悲しみにとらわれる時間を最小限に、「自分たちができることは何か」と、思考を切り替えるスピードは早まったと思います。





事実を洗い出してできることを実行し、何時までに届かなければどんなアクションを取るかと期限を切って考える。QRコードを作るために、誰がいつまでにフォームのアカウントを作り、売り場の対応をスタッフに周知するかを想定する。





台湾のイベントスタッフや現地アルバイトの方々と連携して問題解決を進められたことで、お客様の「買いたい」という思いに、なんとかお応えできました。





翌日は、2日で販売する量の商品数を1日で販売するという問題解決が必要でしたが、事務局にもSNSで告知をお願いし、2日分を無事に完売。QRコードで購入していただいた方の分を合わせると、当初の想定を超える売り上げになりました。









改めて当時を振り返り、「問題解決」のポイントはどこにあったと感じますか。





田中:問題解決のフレームが頭にあること、その活用が習慣化していたことが違いを生んだと思います。そうでなければ、QRコードで個人情報を取るという発想も出なかったかもしれません。





今後の期待は、この行動を次のリーダー候補がとれるようになること。海外のイベントという特殊なケースに限らず、問題は日々の店頭でも起きています。「どうしたらいいでしょう」ではなく一人ひとりが提案して行動できる、そんな組織にしていきます。





鈴木(コーチ):会議室で問題を洗いだすのではなく、現場で問題が生じた瞬間に「すごい会議」を活用いただけた貴重なエピソードです。不確実性が高いなかでも、何が可能かと探し続け、アクションを取り続ける。可能な限り高速で実行する。問題解決に慣れていることが強みでしたね。





さらなる進化へ。緊張感を持って、高い目標を追い続ける





鈴木コーチは貴社の成長にどう貢献しているか、コーチの魅力をお聞かせください。





田中:社外の人に組織の問題解決に伴走していただく緊張感があることで、高い目標が立ち、問題解決が加速しています。





鈴木コーチの魅力は、決してマイナスの言葉を使わず、すべてをポジティブに機動させてくださること。深刻な課題でも僕らを前向きなムードに引っ張り、「できる」と感じさせてくださる存在です。





鈴木コーチに伴走していただくべき課題もあれば、分科会にサイズダウンして社内コーチが受け取って走る課題もある。場面によって、最適性を使い分けて進みます。





「すごい会議」はどんなシーンでその効力を発揮すると思われますか。





田中:経営者が自らの意向やコントロールを、一部、手放す決断をする場面です。会議を通じて現場の意見を引き出すことで、組織の現状や課題が可視化できる。その結果、組織の可能性が広がり、柔軟性が増します。





以前の当社には、強固なトップダウンの組織文化が根付いていましたが、経営者がそのコントロールを見直し、組織内の意思決定プロセスに変革を起こしたことで成長へのアプローチが柔軟になった。新たな選択肢が生まれました。





「すごい会議」を知らない人に、どのようにこの会議のことを伝えますか。





田中:まず、その会社がどんな会議をしているかを質問します。





「すごい会議」によると、会議の種類は3種類しかないと言います。企業として新たな目標を立て、その目標を実現するための計画を立てる会議、計画を進める中で起きる問題を解決する会議、進捗を管理する会議。





その違いを理解し、会議のゴールを明確にして実施してこそ生産性は上がる。「本質的に生産性の高い会議を目指すなら『すごい会議』が効果的」、そう伝えます。





ありがとうございました。






Day 2024年6月27日

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KAWAI-TAIRIKU 川井大陸